第2章 superfluous power
「退いてろ」
ファイの冷静な声音にシャンクスが唇を引き結んで従うと、音もなく振るわれた透明な斬撃が箱の上部だけを綺麗に切る。急いでフレイアを箱の中から出すと、胸を押さえた状態で大粒の汗を浮かべて荒い呼吸を繰り返している。
「ファイさん……」
「大丈夫だ。死んだりしねェよ……こいつの母親もそうだった」
「……」
悲痛な表情を浮かべるファイに何も言えず、腕の中のフレイアを見つめる。
「おーおー、二人共派手に……フレイア!?」
「ナイスタイミングだ。お前等このガキ共を頼む。おれとシャンクスはフレイアをつれて早急に船に戻る」
「あ、ああ。でも大丈夫なのか?」
「……悪魔の実を食べさせられたらしい。暫くは落ち着かねェよ」
「……ここは引き受けた。早く戻ってやれ」
「ああ。シャンクス、行くぞ」
「……」
無言でフレイアを抱き上げたシャンクスの頭をファイが乱暴に撫でた。