第2章 superfluous power
地下に降りた途端、男達の騒がしい声が聞こえてきて一本道を走り出した。フレイアの名前を叫びながら足を動かすが、一向に返事は帰ってこない。嫌な予感を頭を振って追い出すと、伝達係を請け負った男を道の先に見つけてサーベルを握り締めた。
「うわ、ガキがこんなところまで」
「そこをどけ!!」
走りこんできた勢いのままに刃を振り下して一撃で仕留めると、地下室の扉を蹴破る。
「フレイア!!」
「あ!?」
部屋の中は、十数人の子供たちと男達の中心で、まるでショーケースのような透明な箱が置かれていた。その箱の中に見覚えのある藍色を見て取ったシャンクスは、自分の頭に一気に血が上るのを感じながら男達を睨みつける。
「フレイアに何をした!!?」
シャンクスが怒鳴った瞬間、2、3人以外の男達が皆卒倒して子供たちが悲鳴を上げた。
「こ、このガキ一体何を……」
「シャンクス……! お前……これは」
「ほ、本当に『剣聖』が来やがった。どうなってんだよ!?」
「うるせェ」
「黙ってろ」
すっかり戦意喪失している男達をたやすく切り捨てると、二人そろってガラスケースに近づく。
「おいフレイア!」
シャンクスが両手でドンドンとガラスを叩くも、中のフレイアは大きく肩を上下させて荒い息を繰り返すだけでこちらを見上げる余裕はない。
「おいガキ共、こいつ変な実を食べさせられてなかったか?」
「え、あ」
「答えろ!!」
「……食べてた」
ファイの剣幕に震え上がる子供たちの中で、一人の少女がか細い声を上げた。その姿がフレイアを嵌めたという少女と瓜二つなのを見て取って、ファイが目を細める。
「ファイさん、もしかしてそれって」
「悪魔の実は海の民には毒でしかない」
フレイアに視線を戻して表情を歪めるファイを見て、シャンクスはガラスを叩く力を強める。
「じゃあ早くクロッカスさんにみせないと!!」
「おいそこのガキ、このガラスは一体なんだ」
「分からないの。変なもの食べて、お姉ちゃんが苦しみ始めて、男がお姉ちゃんに銃を向けた途端に現れて……」
「つまり実の能力か……何の能力なのかは分からんが、このままじゃダメだな」
「ファイさん何を」
一歩下がって刀を抜いたファイを見てシャンクスが目を見開く。