第2章 superfluous power
「おい、誰だお前たち」
「!」
どこかに監視の目でもあったのか、不意に教会の扉が開いて武装した数人の男たちが姿を見せた。元よりシャンクスもファイも穏便に事を済ませるつもりなどない。冷静に柄に手をかける2人を前に、男たちの足がぴたりと止まった。
「誰だという問いに律儀に答えてやる義理はねェよ」
ファイがゆっくりとした動作で刀を鞘から抜き取っていく。その様子を見て、男たちの反応が綺麗に二分されたのをシャンクスは冷静に見ていた。一方は表情を歪めて、恐怖を露わにしていく。他方は一瞬怪訝な色を見せた後に余裕そうな笑みを浮かべ始める。
(グランドラインでも未だこの人を知らない奴っているんだな)
この男が誰なのか……名乗る以上に雄弁に語るその異質な相棒を知らない様子は、久しく見ていなかった反応だった。
「はは、その刀身のないガラクタで何しようってんだよ!?」
男の言う通り、ファイの手の中にあるのは柄だけで、肝心の刀身はまるで元来存在していないかのようだ。
「馬鹿!!」
「え?」
「遅ェよ」
一閃。男の言うガラクタをファイが何でもないように横へ一度振るう。それだけで目の前の男達は次の瞬間、皆一様に地に臥せっていた。
「ひ、な、なんでテメェのような大物が」
唯一、死ななかった男は腰を抜かして四つん這いで必死に後ずさる。
「あ? 娘を取り戻しに来ただけだ。生かしてやったんだからさっさと攫ったガキ共の居場所を吐けよ」
「おい、お前等二人相手に何を手古摺って……な、なんだこれ!?」
「チッ……おいシャンクス、強行突破だ」
返事するより先に、戸惑っている男達を切り伏せることでそれに代える。その様子を見て薄く微笑むと、ファイも目の前の男を蹴り飛ばして教会の扉を破った。
「おーおー、そこそこの人数がいるな」
突然吹き飛ばされてきた仲間とともに見知らぬ男と少年が入ってきたことにより、教会の中がにわかに騒がしくなる。
「おい、下にいるボスに敵襲の知らせをして来い」
「シャンクス」
「わかってる!!」
一人の男が走り出していく後ろをシャンクスが追いかけようとすると、それを阻止しようと3人の男が前に躍り出てくる。
「邪魔だ!!」