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鏡面【ONE PIECE】

第15章 背中を追うこと、隣に立つこと


 弟を掴んでいるエースの姿に海賊達が雄叫びをあげた。
「火拳のエースが……解放されたァァ!!」
「やったぞ麦わらァ!! エースを奪い返した!!」
 地面に落ち立つや否や、今まで離れて暮らしていたブランクを微塵も感じさせない息ピッタリの様子でルフィとエースは戦闘を始める。それを見た海賊達は二人の退路をつくるべく、動き出した。
 パドル船を使って最後の戦いを引き受けようとしたのは、海軍に騙され、白ひげを刺してしまったスクアードだった。たとえ償いにならなくてもやらせてくれと叫ぶスクアードを見て、白ひげは片手でその船を止めて見せる。
「子が親より先に死ぬなんて事が、どれほどの親不孝か……てめェにゃわからねェのかスクアード!! つけ上がるなよ。お前の一刺しで揺らぐおれの命じゃねェ……!! 誰にでも寿命ってもんがあらァ……」
「!!」
 白ひげのこと後に続くであろう言葉を思い、フレイアは震える手で刀を握りしめた。
「ここでの目的はもう果たした。もうおれ達は、この場所に用はねェ……! 今から伝えるのは……最後の”船長命令”だ……!! よォく聞け……白ひげ海賊団」
 白ひげの言葉にクルー達がどよめく。口々にそんなことを言わないでくれと叫ぶも、白ひげは頑として譲らなかった。
「お前らとおれはここで別れる!! 全員! 必ず生きて! 無事新世界へ帰還しろ!!」
「オ、オヤジィ……!」
「ここで死ぬ気か!?」
「おれァ時代の残党だ……! 新時代におれの乗り込む船はねェ……!!」
 そう言って大きくマリンフォードを揺らす攻撃を仕掛ける白ひげ。その背中を見て、嫌だと叫ぶ者達、船長命令だと涙を飲んで従う者達、呆然と立ち尽くす者達、皆が白ひげの言葉にショックを受ける中、白ひげはそっと微笑みながら前にいる海軍を見据えた。
「ずいぶん長く旅をした……ケリをつけようぜ……海軍!」
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