第15章 背中を追うこと、隣に立つこと
白ひげ海賊団の後押しを受けてルフィは一直線に走っていく。七武海数名と中将たち、そしてパシフィスタを数体同時に相手取っていたフレイアは見聞色でルフィの周囲の気配や仲間の気配を探りながら微笑んだ。
「……行きなさい、ルフィくん」
数多の支援を受けて、ルフィはイナズマの作った道を走っていく。そこに最後の関門だとばかりに現れたのは、彼の祖父であるガープだった。
「じいちゃん!! そこどいてくれェ!!」
「どくわけにいくかァ! ルフィ!! わしゃァ【海軍本部】中将じゃ!!! お前が生まれる遥か昔からわしは海賊達と戦ってきた!! ここを通りたくば、わしを殺してでも通れ!! 【麦わらのルフィ】!!! それがお前達の選んだ道じゃァ!!」
「!」
怒鳴るガープの力強さを受けて、しかしルフィは足を踏み出す。そんな彼の頭に浮かんだのは、幼い頃のガープとの記憶だった。
「できねェよじいちゃん!! どいてくれェ!!」
「できねばエースは死ぬだけだ!!!」
「いやだァ!!」
「いやな事などいくらでも起きる!! わしゃあ容赦せんぞ!!!」
家族と敵……相対する関係性を内包した二人の言葉の応酬を皆固唾を飲んで見守った。ルフィを敵とみなすと叫び拳を構えるガープをみて、ルフィも拳を握る。
交錯は一瞬だった。しかし、彼らの頭に流れた記憶はそんな短いものではなかった。かつてのルフィ……そしてエースの顔がよぎり、ガープは唇を噛み締めながら目を閉じる。そして空振るガープの拳の隙間を縫って、ルフィは渾身の一撃を喰らわせる。
誰も予想だにしなかったガープの敗北に一同が動揺する中、ルフィは処刑台の上にのぼり、ハンコックから預かった鍵でエースの手枷を外そうとする。しかしそれは黄猿の攻撃によって防がれた。
万事休すと思われた中、処刑台に紛れ込んでいたMr.3を見つけたルフィは彼の手を借りてセンゴクの攻撃からエースを守る。センゴクの拳で崩れた処刑台からエース・Mr.3、ルフィが落ちていった。そんな三人目掛けて砲弾が飛んで行く……そして……爆炎の中から炎が上がった。
「お前は昔からそうさ、ルフィ!! おれの言うこともろくに聞かねェで無茶ばっかりしやがって!!」