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鏡面【ONE PIECE】

第2章 superfluous power


「レイリーさん!! この子!!」
「見つかったか……おいファイ!」
「ちょ」
 船に戻ると、いつも以上に人の往来が激しい甲板でレイリーとロジャーがクルーに指示を出していた。シャンクスの声に反応したレイリーが近寄ろうとすると、突然伸びてきた手が少女を甲板に押さえつけた。
「人攫い供のアジトの場所、分かるよな?」
「ひ、あ」
「おいファイ!」
「ファイさん、ちょっと何やってるんだよ」
「黙ってろ!!」
 ファイの剣幕に思わずシャンクスが2、3歩下がると、バギーが駆け寄ってくる。
「あの子か? あいつ嵌めたっていうの」
「は? 嵌めた?」
「お前ちゃんと電伝虫の声聞いてたのか? まァおれも詳しくは聞き取れてないけど、自分以外の女の子を捕まえるのを手伝ったら逃がしてくれる~みたいな感じだったんじゃねェのか。フレイアも注意力散漫というか……」
「……っ!」
「あ、おいシャンクス!」
 殺気立っているファイと完全に怯えきって言葉の出ない様子の少女の間に割って入ると、少女を背中に隠す。一瞬にして殺気の矛先が自分に向いて、刺すような気配に息をのむ。
(この人、素人相手にホント容赦ねェな!?)
「何のつもりだ」
「そんなに怖い顔で迫ったら喋れるものも喋れない」
「……」
「ファイ、一回頭を冷やせ」
「十分すぎるくらい冷えてるよ」
 「いや、どこがだ」と全員で突っ込みたくなるのを必死で押しとどめながら、シャンクスの後ろで震えている少女に視線を向ける。皆少なからず、少女に敵愾心はあったものの、ファイの様子を見ていれば冷静な思考になっていった。
「……フレイアはどこにいる?」
「……南の……」
 涙をこらえながら、真っ直ぐな瞳がシャンクスに向けられる。それを正面から受け止めるシャンクスの静かな雰囲気に、少女が小さな声で言葉を紡ぐ。
「南の森に、今は使われてない教会があって、そこの地下室に、子供が皆集められてる。お願い、私の妹もいるの……だから……」
「はァ!? お前の妹なんか」
「バギー」
 少女の言葉に、耐えきれなくなったバギーが口を挟もうとするものの、静かな声がそれを遮った。眉をひそめたファイも、結局口を開くことなく声の主を見つめる。
「あいつが守ろうとした命だ。だから守るさ」
 
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