第15章 背中を追うこと、隣に立つこと
一進一退の戦争の中で、突然後方にパシフィスタの軍団が現れ、更に戦場は混沌としていく。突然引き腰になる海軍に違和感を覚えたフレイアの隙をついてルフィに攻撃を仕掛けた黄猿に、フレイアは再び切りかかった。
「本当に覇気の使える自然系は面倒くさいわね!」
「お前さんひとりにかかりきりは、後で怒られるんだけどねェ〜鏡面」
そう言いながらもフレイアという戦力を無視できない黄猿はフレイアの斬撃に合わせて武装色を纏う。空中で行われる攻防のはるか眼下を確認した黄猿は、いつも通りの食えない笑みで話しかけた。
「いいのかい、こんなところにいて」
「は!?」
「下が大変なことになってるようだけど、ね!」
能力で加速された蹴りを受け止め、フレイアが僅かによろめいた。その瞬間、白ひげ海賊団からの悲鳴と共に嫌な予感がフレイアの頭を駆け巡り、慌てて背後を振り返る。
「……オヤジさん!!」
【大渦蜘蛛】スクアードによって刺された白ひげを見てフレイアが動揺を露わにする。その隙をついた黄猿の攻撃を受けてフレイアが地面に叩きつけられた。
「フレイア!」
「……だい、じょうぶ……」
口の中に溜まった血を吐き出してモビー・ディックを振り返ったフレイアだが、パシフィスタのビームや海軍の大砲を対処するのに手一杯だと判断すると、懐から電伝虫を取り出す。
「ミレイ! オヤジさんの怪我を!」
『……分かった! でもモビーに戻るまで時間が……!』
「急いで!」
目の前の海軍を切り捨てながら再び飛び上がろうとしたところで、足元から機械音が響いて立ち止まった。
「なに、これ……」