第15章 背中を追うこと、隣に立つこと
はるか背後では、ドフラミンゴとリオンの戦闘が激化していた。周囲の人間を操ってリオンの動きを封じにかかるドフラミンゴに対し、あくまで冷静に糸を覇気を纏ったナイフで切りながら対処していくリオン。その流れるような動きを見てもなお、ドフラミンゴは笑顔を絶やさない。
「自分の獲物は出さないのか? 【死神】よ」
「!?」
初めて揺らいだリオンの気配に畳み掛けるようにドフラミンゴが手近にいた白ひげ海賊団のクルーを差し向ける。しかし、その動きは背後から放たれたレオーラの銃弾によって阻まれた。
「ボサっとしない!」
「分かってる」
懐に入ったリオンがナイフをドフラミンゴの首めがけて振るう。それを糸を使って受け止めたドフラミンゴは力比べをしながら、リオンに顔を近づけた。
「そう急くなよ」
「……なんで貴様がその名前を知ってる」
「フフフッ。世の中お前の思ってるより情報は出てるんだぜ?」
「……」
力を突然抜いたリオンが、流れるような体重移動で回し蹴りをドフラミンゴに叩きつける。横なぎに飛んでいった男は、着地と同時に近くにいたジョズを糸で止めた。そしてジョズと戦っていたクロコダイルに視線を移す。
「よく出てこれたなワニ野郎!! 血の池の湯加減はどうだった?」
「余計なマネすんじゃねェよ。殺されてェのか?」
「口の悪ィ奴だ……!! どうだ、おれと手を組まねェか?」
背後から人波を飛んで迫るリオンを尻目にドフラミンゴはそう提案する。しかし、その言葉はクロコダイルによって一笑に付された。クロコダイルの【砂嵐】から避けたドフラミンゴに対し、リオンは再び蹴りを入れる。
「お前の主人についてなくていいのか?」
「その主人から与えられた役割なんでな!」
「フフフッ! どこまでいっても狗は狗だなァ!」
「チッ!」