第15章 背中を追うこと、隣に立つこと
シャボンディ諸島。
白ひげ海賊団の面々は、船のコーティングが終わるのをピリピリとした気配を漂わせながら待っていた。数日前にも海軍の監視船を沈めたばかりである彼らは、海軍に作戦を悟らせぬように気を配っていたのだ。そんな彼らに一艘のボートが近寄っていく。
「なんだあれ」
「海軍……には見えねェが」
「おい誰か隊長を……」
「何を騒いでんだよい」
若いクルー達が賑やかになっているのを感じたのか、船の中からマルコが顔を出す。事情を聞いたマルコがボートをじっと見ていると、ボートの中にいた人影が大きく手を振っているのが見えた。
「お前たち、オヤジを呼んでこい」
「え」
それだけ言い残し、手だけ不死鳥に変化させたマルコは一直線にボートへと飛んでいく。小さな船を揺らしながら着地したマルコは、そこにいた人物を見てニヤリと笑って見せた。
「何の用だよい。今は歓迎してやれる余裕ねェぞ」
「その必要はないよ」
レオーラは長旅の疲れも感じさせない様子で微笑んだ。
「僕も戦いに来た」
「……そうかよ」
予想通りの答えにマルコは満足そうに頷くと「オヤジにだけちゃんと言えよい!」と叫んで戻っていった。それに了承を返しつつ、レオーラはそっとボートの隅に置いてあった長刀を見下ろした。かつて、幼馴染が使っていた刀。それを腰に挿してレオーラはボートを操作する。
ボートを陸につけたレオーラは、そのまま白ひげ海賊団の輪の中に入っていった。その一番奥では船長である白ひげが鎮座している。皆が固唾を飲んで見守る中、レオーラは円の中心にまで進み、白ひげが声をかける前に膝をした。
突然土下座を始めたレオーラに一同がどよめいた。その中で白ひげと隊長達だけが静かにコトの成り行きを見守る。
「もう一度、この船のクルーとして戦わせてください!」