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鏡面【ONE PIECE】

第14章 嵐の前の帰省


「【鏡面】は元々この船の家族だったこともある娘だ。お前たち、手を出すんじゃねェぞ」
「別に出されても勝てるけどね」
「生意気言いやがる」
「オヤジさんには流石に勝てないよ……マルコになら勝てるけど」
「聞き捨てならねェよい」
 眼下から聞こえる抗議の声にフレイアが笑いながらマルコの方を見下ろす。そして、彼の周りにいる隊長たちを見て首を傾げた。
「オヤジさん」
「どうした」
「エースとサッチは?」
「……」
 フレイアの言葉に全員が顔を伏せて口を閉ざす。その唯ならぬ様子に、フレイアとレオーラは真剣な顔つきで白ひげを見つめた。そのふたつの視線を受けて、白ひげは小さく息を吐く。
「サッチは……死んだ」
「……え」
「殺されたんだ!」
「おい」
 若い衆の中から上がった声にフレイアは眉を顰める。戦闘で死んだという話なら、皆落ち込みこそすれここまで口を貝のようにすることはない。それを悟ったフレイアは「……誰に」と呟いた。
「……ティーチだよい」
「ティーチって……私が知ってる彼よね?」
「まさか……」
「事実だ」
 ビスタの重々しい言葉にレオーラは目を見開きながらも、その現実を少しずつ受け止めていく。かつて自分が隊長として面倒を見ていた男。長く白ひげのもとでその力を発揮していた男が、この船で最大の禁忌である仲間殺しをやった現実を。
 フレイアも共闘したことは何度もあった。しかし、そんな淡い記憶と現在目の前で打ちひしがれている白ひげ海賊団のクルー達を天秤にかければ、信じるべきがどちらかは言うまでもない。
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