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鏡面【ONE PIECE】

第14章 嵐の前の帰省


 もう一度フレイアの頭を軽く叩くと、マルコは両手を翼に変えて飛び上がった。そして目と鼻の先に迫っていたモビー・ディックから投げられたロープを受け取ると、甲板にいたレオーラに渡した。
「あのじゃじゃ馬の手綱、ちゃんと握っとけ」
「無理言わないでよ」
 苦笑いでロープを受け取ったレオーラに、マルコは軽く肩を叩いてモビー・ディックに戻っていく。中で休憩していたミレイとマリンも、急に停止したのに驚いたのか顔を出してきた。
「え、何この船」
「でかっ!」
「モビー・ディック……白ひげのオヤジさんの船よ」
「白ひげって、レオーラが前にいたところ?」
「そ。私も少しの間在籍にしてたの。たまたま見つけたから、挨拶でもしようと思って」
 嵐の中では厳しい顔つきで指示を飛ばしていたフレイアが、一転して機嫌が良さそうに笑う。それだけ喜んでいるのだと察してミレイとマリンも口元を緩めた。
「さ、皆んなで行きましょう」
 意気揚々とモビー・ディックに乗船した鏡面海賊団の面々を待っていたのは、隊長達を含めた白ひげ海賊団の一同だった。フレイア達を知っている者もいれば、知らない者もいる。値踏みするように見る者の視線を受けて、気後れするマリンを安心させるようにフレイアは堂々と先頭を歩いて行った。
 甲板に置かれた一際大きな椅子に座る白ひげ。その姿を確認すると、フレイアは大きく手を振った。
「オヤジさん、久しぶり!」
 馴れ馴れしいその様子に若い船員達がどよめく中、事情を知っているマルコやビスタといった古参の面々は笑いを漏らす。対して、名前を呼ばれた白ひげはニヤリと笑って口を開いた。
「来るなら知らせとけ、バカ娘」
「広い海でいつ会えるかなんて分からないよ。今回もたまたまだし」
 目の前に来て、その体にいくつも管が繋がっているのを見たフレイアは僅かに寂しそうな目をしつつも、白ひげに向かって手を伸ばした。それに応えるように、白ひげも手を伸ばす。白ひげの指先を掴んだフレイアはそっとその掌に飛び乗った。
 大きな手に運ばれるまま、肩に乗せられたフレイアを見て若い衆は開いた口を塞げないでいた。それを見た白ひげは声を張り上げる。
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