第13章 A straw hat
べーっと舌をだして答えるルフィにフレイアは声を出して笑った。そんな彼女も気に留めていない様子で、ゾロの安否を気にするルフィ達仲間を安堵させるように、また自らの覚悟の証明のために、ゾロは真っ直ぐ剣を天に向ける。
「不安にさせたかよ……おれが……世界一の……剣豪にくらいならねェと、お前が困るんだよな……!!」
感情を昂らせながらも、その剣はブレることなく……。
「おれはもう!! 二度と敗けねェから!!! あいつに勝って大剣豪になる日まで、絶対にもう、おれは敗けねェ!!!」
文句あるか、と尋ねたゾロにルフィは笑顔で否定を返した。それを見届けたミホークは笑みを浮かべて頷く。
「いいチームだ。また会いたいものだ……お前たちとは」
そう言って自船に戻るミホークは、フレイアを見て口を開いた。
「おれはこれでグランドラインに戻るが、貴様も乗っていくか?」
「あら珍しい誘いね」
「ここで会ったのも何かの縁だ」
ミホークの誘いを受けてフレイアは腕を組んで困ったように笑う。
「そうねェ……結構お腹いっぱいではあるんだけど」
そう言いながらもフレイアはルフィ、ゾロ、ウソップ……そしてサンジを交互に見た。
「もう少し……見ていたいな」
「……そうか」
同感だと言いたげなミホークが船に足をかけたところで、背後から彼を呼び止める声がかかった。
「てめェはおれの首を取りに来たんじゃねェのか? このイースト・ブルーの覇者”ドン・クリーク”の首をよ!!」
「そのつもりだったがな、もう充分に楽しんだ。おれは帰って寝るとする」
「まァそうカテェこと言うな。てめェが充分でも、おれはやられっぱなしなんだ」
「……ミホーク、行っていいわよ」
「ああ」
「帰る前に死んで行け!!」
「バカな男」
ミホークの船から飛んだフレイアは、クリークの出した銃弾を湖月で払う。去り行く友人の邪魔にならぬように。