• テキストサイズ

鏡面【ONE PIECE】

第2章 superfluous power


「おいバギー、街に行って買い出しの奴ら探しに行け。そろそろ戻る時間だから側にいる筈だ」
「りょ、了解!!」
「チッ、あいつ街の女の子を庇ってるな。あのじゃじゃ馬娘は……母親そっくりに育ちやがって」
「レイリーさん、離してくれよ! 先に探しに行った方が効率的だろ!?」
 必死に拘束を解こうとするシャンクスを抑える力を強めながら、冷静な眼差しを向ける。
「敵の規模もわからないのに、お前独りを向かわせるわけにいかないだろうが」
「でも!!」
『今日は厄日かな……っ!』
「!!」
「くそ」
 小さな呟きと共に聞こえてきた銃声に、二人の表情が強張る。しかしシャンクスはすぐに奥歯を噛みしめて無理やり逃亡を図ろうともがいた。事は一刻を争うと分かった以上、バギーが皆を連れてくるまでなんてのんびりしてられない。
『……ただ負けるのだけは嫌』
「……フレイア」
 フレイアの小さくも力強い声に思わず体を止めた。唇の端を持ち上げて笑う電伝虫から視線が外せなくなる。少しの間、そうして呆けていると、次の瞬間鋭い叫び声が電伝虫の口から飛び出した。
『走って!! 港に私の仲間がいるから!!』
「まさか、庇っていた子を逃がしたのか!?」
「レイリーさん!!」
 自分の役目を悟ったシャンクスの瞳を見て、レイリーが黙って手を放す。次の瞬間、風のように動いた小さな体が船から飛び出していく。
「恐らくフレイアより小さな子供だ!! 絶対見つけてこい!!」
「了解!」
 走り去っていく背中を見送りながら、レイリーが再び神経を電伝虫のほうに向ける。フレイアが捕まれば、通話は切られてしまうだろう。
(まったく……帰ってきたら説教だな)


 麦わら帽子をおさえながら大きな港の中を走る。思考を占めているのは探すべき少女ではなく、先程、電伝虫が見せたフレイアの表情だった。微塵も諦めていない、自らの現状を素直に受け入れ尚、反抗心を剥き出しにしたそれを思い出すと自然と口元に笑みが浮かんできた。
「絶対に助けてやる。そのまま諦めず待ってろよ!!」
/ 270ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp