第11章 再会は降ってくる
「ミレイ、起こしてあげないと」
「ああ、そうだな。行ってくる」
「なんだ、もう一人いるのか」
自船に戻っていく背中を見ながらシャンクスがフレイアに尋ねる。フレイアは肉を咀嚼してから大きく頷いた。
「正式な船員じゃないけどね」
「?」
「その子を故郷の島に送るために新世界に入ったのよ」
「それって……」
「ああ! 皆んなで美味しそうなもの食べてる!」
聞こえてきた鈴を転がしたような幼い声に全員の顔が同じ方向を見る。リオンの足元では、ワンピース姿の10歳程の少女がぷりぷり怒りながら立っていた。
「あれ?」
「そう、あの子」
フレイアは少女を手招きながら苦笑いする。
「やり合った海賊船に囚われててね。故郷に帰りたいって言うから乗せてあげてるの」
「海賊が慈善事業か?」
ベックマンが意地悪く唇を歪ませながらそう言うと、フレイアは肩をすくめる。
「まぁ……色々思うところもあってね」
「え?」
「フレイア、何で起こしてくれなかったのよ」
「悪かったわよ。忘れてたの」
フレイアの言葉にさらに全身で怒りを表現する子供。フレイアはそれをあやしながら少女の口に手元にあった肉を突っ込んだ。
「怒りなんか食べたら収まるわよ。ミレイ」
「なんかフレイアの小さい頃にそっくりだな」
「ここまでガキじゃなかったわよ」
「そうか?」
「そうよ!」
「気を抜くと痴話喧嘩を始めるな……」
ベックマンの苦々しい表情を見てレオーラは笑う。
新たな出会いを祝う宴は夜中まで続いた。