第11章 再会は降ってくる
フレイアたち、鏡面海賊団の登場から2時間――レッド・フォースの甲板では飲めや食えやの宴が始まっていた。その中央にいるのは言うまでもなく、船長の二人だ。
「まったく、妹って言うから本当のやつかと……」
「仕方ねぇだろ? 船の上じゃそういう扱いだったんだから」
「まぁシャンの世話を私がしてたんだけどね」
「はぁ? 一人で島に上がってピンチになる妹のお守りをしてたんだろうが」
「一回だけでしょ!?」
「お前ら、喧嘩しかできねェのか」
目を離せば直ぐじゃれあいのような喧嘩を始めるため、二人の隣ではベックマンとレオーラはじめ、両海賊団の幹部が控えていた。そうは言っても、鏡面海賊団はクルーが少ないのでそれで全員ではあったが。
「ところで、いつグランドラインに来たんだ?」
「結構前よ。パラダイスでかなり長居してたから、新世界に入ったのは最近だけど」
「本当はもう少し前半の海で長居するつもりだったんだけどね……」
「そりゃあまた、何で?」
普通の海賊達はどんどん前に進むものだ。前半の海で長居をする者は、実力が伴っていないか、余程の物好きだ。シャンクスと切り結んだフレイアの実力を考えれば後者ということになる。
ルウの疑問に答えたのはフレイアだった。
「マリンが全部の島に行きたいって言うから何往復もしてたのよ」
「全部!?」
「ひゃい!」
シャンクスの大声に、両手で酒の入ったグラスを持っていたマリンの肩が跳ね上がる。それを見たベックマンは軽くシャンクスの肩を叩いた。
「何回やるつもりだ、アンタ」
「仕方ねェだろ……」
「い、いえ私も驚いてしまうのが悪いので」
多少慣れてきたのか、マリンは困り眉でそう言った。
「マリンの夢はこの世界にある島の地図を全部書くことなのよ」
「へェ……全部か」
「そりゃあ壮大な夢だな」
「そんなこと……色々なところに行きたいだけで……」
「じゃあおれと同じだな」
ニカッと笑ってみせるシャンクスにマリンは恥ずかしそうに笑い返した。それを見たレオーラはほっとしたように笑みを浮かべながら「あ、そういえば」とリオンを振り返った。端の方でひとり静かに水を飲んでいたリオンはその視線に首を傾げる。