第11章 再会は降ってくる
「……なんだ、この光景」
「さぁ?」
「ふふふ、うちの子達がごめんね」
当たり前のように乗り移ってきた青年を見て、シャンクスは目を見開く。
「お前! 白ひげの!」
「今はフレイアの船に乗ってるんだよ」
そう言ってオッドアイを細める男――レオーラは幹部達に軽く頭を下げた。
「悪いね、うちの船長がお騒がせしたようで」
「いや、ウチも騒がしいのは慣れてるからな」
「そりゃ良かった」
「……」
「ところで、アンタの後ろで隠れてる女の子は?」
ベックマンが顎で指し示したのは、レオーラのマントを掴んで背後に立っている女の子だった。緑色の髪を風に遊ばせながらも、一向にレオーラの長身の陰から出てくる様子はない。その様子を見たレオーラは、片手で女の子を前に突き出した。
「ほら、挨拶」
「ま、マリンです……!」
「ごめんね。ちょっと緊張してるだけだよ」
顔を真っ赤にしながら名前を口にしたマリンはそのまままたレオーラの背後に隠れた。その初心な様子が新鮮なのか、シャンクスは追いかけるようにレオーラの背後を見る。飛び上がったマリンとレオーラを挟んで追いかけっこを始めたシャンクスに、ベックマンが「やめろ」と首根っこを掴んだ。
「いや、なんか小動物みがあってよ」
「言わんとしてることは分かるが、嫌がってる女を追いかけるな」
「ちょっとシャン! うちの子虐めないでよ!」
「まだ説教が終わってない」
「ほらほら、リオンもそろそろ切り上げなよ。みんな困惑してるよ?」
手を打つレオーラを見て目を細めたリオンは、短い黒髪をくしゃりと掴んで溜息を吐いた。それを見たフレイアは勢いよく立ち上がってマリンの方に走っていく。
勢いとは逆に優しい手つきでマリンの背中を撫でたフレイアは柔らかく微笑んだ。
「大丈夫よ。シャンも取って食いやしないから」
「う、うん」
「おれはライオンか」
シャンクスの言葉は無視して、フレイアは「それにしても」と笑った。その無邪気な笑顔が小さな頃と重なり、シャンクスは目を瞬かせる。
「久しぶり、シャン。元気そうね」
「お陰様でな」
「……あのさぁ」
全て丸く収まったと言いたげな二人を前に、ようやくヤソップは片手を上げた。
「どうした?」
「おれは話が全然見えねェんだが……その、鏡面? はお頭の何なんだ」
「妹だ!」
「……はぁぁぁあ!!!??」