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鏡面【ONE PIECE】

第1章 見習いトリオ


「あー、コーヒー貰えるか」
「はいはい、用意できてますよ。レイさんおはよう」
 フレイアの予想通り、こめかみを揉みながら食堂に入ってきたレイリーがコーヒを要求した。いつも通りの様子にクスクスわらいながら慣れた手つきでコーヒーの入ったマグカップをレイリーの前に置くと、次に来そうなメンバーを頭に描きながら酔い覚ましの準備を進める。
「回を重ねる毎にコーヒーを淹れるのが上手くなるな」
「褒めても何も出ませんよ」
「純粋に褒めてるんだ。何度やらせても倉庫の片付けを終わらせない見習い2人をその手腕でどうにかしてくれ」
「レイさんでどうにも出来ない2人を私がどうしたらいいんですか」
 フレイアの頭の中で赤と水色が倉庫内で遊んでいる様子が思い出される。
(あれは休憩してたわけじゃないのね)
「元気でいいじゃないか。子供はそれでいいのさ」
「じゃあミランダがあの2人の面倒をみるか?」
「この船に乗ってるデカイガキ共の世話で手一杯さ。とんと日常的な自分の世話は下手だからねェ」
「言い返す言葉もないな」
 この船のお母さんのような存在である女の前では冥王もただの人だ。雑談をしながらも手を休めないミランダを見ながら、慌ててフレイアも止まっていた手を動かす。
 食堂には続々と人が増えていき、それに伴い厨房も少数精鋭が次々に仕事を捌いている。
「フレイア、ここは一回いいからいつものメンバー起こしておいで」
「はーい」
 そろそろか、と食堂を見たフレイアにタイミングよくミランダが声をかけた。宴の次の日に起きてこない決まったメンバーを起こしにいくのは、1番下っ端なフレイアの大事な仕事の1つだ。
「ロジャーは私が起こしてこよう」
 一足先に来ていたレイリーが空いた食器を片手にフレイアに声をかける。それに了承の返事をしてフレイアは厨房を飛び出した。


「起きてー!!」
 未だ子供らしい甲高い響きを残す声で大部屋に起床を促す。しかし最初の一声で起きる人間はいない。
(さて、今日はどうやって起こそうかな。ぶん殴ってもいいけど、それで前に喧嘩になったしな)
 目の前で気持ち良さげにいびきをかく3人の男達に向かってフレイアは小さく溜息を吐いた。
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