第11章 再会は降ってくる
「ヒマだなァ……」
「海も凪だしなァ……」
後部の甲板に寝転ぶシャンクスは、同じく横になっているヤソップと共に大きな息を吐いた。天気は快晴。しかし驚くほど風はない。気まぐれなグランドラインの天候には慣れたものの、近くに島もない場所で凪とはツイてない。それがこの船の者達の率直な感想だった。
朝からヒマだヒマだと言ってゴロゴロしている船長を横目に銃の手入れをしていた副船長――ベックマンはタバコの煙をひとつ吐き出す。白煙が青空を霞めるのをシャンクスはボーッと目で追いかけた。
「あーなんか降ってこねェかなー」
「なんかって?」
「なんかはなんかだろ。面白いモンだよ」
「テキトーだなァ」
しかし、ヤソップとて暇は同じだ。だからこそ、船長であるシャンクスと共に願ってしまった。
何か降ってこないかなァ……と。