第10章 カケラが集まって今になる
タイミングを図ったように扉を大きく開いて報告してきた男の目元は赤い。10年近くリーダーと崇めた人間との別れを惜しんでいるのは言うまでもない。そんな男を見てフレイアは立ち上がると、男の肩を軽く叩いて部屋を出た。
「世話になったわね。子供たちのこと頼んだわよ」
「っ…………」
「……アイツのことは任せろ」
「ったりめーだろ!! 何かあったらぶっ殺すぞ!!」
黒髪の青年に中指を立てながらそう言い放つと、男はフレイアを追って船長室を飛び出した。残された青年は、フレイアが唯一机に出していた写真立てを一瞬見て部屋をあとにする。フレームの中では幼い頃のフレイア、そして一緒に見習いをしていた二人が笑顔で写っていた。