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鏡面【ONE PIECE】

第9章 それぞれの明日へ


「あーあ、フレイアともお別れか」
 エルトンが不満そうに頬を膨らませながらそう言うと、隣で酒の入ったグラスを傾けていたレオーラが「それ言うの4回目」と冷静にツッコんだ。
 2つの海賊団合同の宴も、日付を回ってゆうに2時間は経とうという時間になると流石に潰れている者の方が多くなっていた。砂浜で大の字になって転がっている男たちを見ながら、エルトンも瓶の中身を呷る。その隣にはすっかり深い眠りについているバギーと、真っ赤な顔で座って呻き声をあげるシャンクスがいた。
「水飲むか、少年」
「欲しいです……うっ」
「あーあ、エルトンが飲み比べとか言うからだよ。ちょっと待っててね、今探してくる」
 エルトンの頭を小突いてから走っていったレオーラの背中に、エルトンはベッと舌を出した。しかし、あまりにシャンクスが気持ち悪そうにしているので黙ってその背中をさすり始める。
「大丈夫か、本当に」
「多分……」
「眠いなら寝た方がいいぞ。おれたちは未だ起きてるつもりだし、やばそうなら起こす」
「……いや」
 シャンクスは俯いていた顔をあげて少し遠くを見た。
「アイツが帰ってくるまでは起きてる」
「……」
 エルトンもその視線の先ーー光が窓から漏れているオーロ・ジャクソン号の船長室を見て、小さく肩を竦めた。



 船長室の中では、ロジャー・レイリー・フレイアの3人が笑い声をあげながら話をしていた。不在だった間の旅の話をするロジャーと、同じくその期間に白ひげ海賊団で体験した話をするフレイア。お互い身振り手振りを交えて話す2人を保護者のような顔で見守るレイリー。
 1年半離れていたことなど関係ないとばかりに話を弾ませる2人の話が止まったのは、旅の終着点となった島の名前が出たときだった。饒舌だった口を閉ざしたロジャーに対し、フレイアは首を傾げる。
「どうかしたの? 船長」
「……フレイア、この海賊団はもう解散する」
「……え?」
 予想だにしない言葉に、フレイアは口を半開きにして硬直する。そのまま助けを求めるようにレイリーの方を見るも、レイリーは嘘ではないと告げるようにゆっくり頷いて見せた。
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