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鏡面【ONE PIECE】

第8章 Incomplete


「ちょっと、おじいちゃん! どこまで行くのよ!」
「……」
 無言で腕を引くユピレは、見聞色で周りに一切人が居なくなったのを確認して手を離した。島の住人の多くは街の復興に尽力しており、静かな砂浜には2人分の足跡しかない。
 少し辺りを見回したユピレは打ち上げられていた大きな流木に腰を下ろし、自分の隣を叩いた。
「話がある。座れ」
「いいけど、私も復興のお手伝いしなきゃならないから少しだけね?」
「そう長くならない。お前が素直に話せばな」
「え?」
「単刀直入に訊こう」
 ユピレの藍色の瞳が怪訝な顔をするフレイアを射抜いた。
「お前、悪魔の実を食べただろう」
「!?」
 フレイアが目を見開くのを見て「やっぱりな」とユピレは溜息を吐く。そんな彼の腕を掴みながら、フレイアは早口で尋ねた。
「え、何で!? 何で知ってるの!?」
「生憎、お前より海の力に詳しいものでな」
「答えになってない!」
「……ずっと追えていたお前の気配が、突然わからなくなったからだ」
 仕方なく、といった様子でそう言ったユピレに対してフレイアは目を見開く。次第にその顔が赤くなり、掴んでいたユピレの腕を揺らした。
「それって私のいる場所が筒抜けだったてこと!?」
「そう言ってる。おれはガープのような天性の勘は持っていないんでな。それを利用してオーロ・ジャクソンと接触していた」
「はぁ!?」
 家族と海軍の衝突を増やしていた事実を知り、フレイアは頭を抱えた。あの船に乗る者達が、その程度ものともしないことは知っている。しかし、接触すれば無傷では済まさないのが自分の祖父という男だ。だからこそ、間接的にも傷つけてしまっていたことに悔しく思わずにいられなかった。
「マイアの時もそうだった。だから、お前が悪魔の実を食べたのは予想がついたってわけだ」
「うう……ごめんなさい皆んな……」
「だから、もう追えてねェよ。お陰で白ひげの所にいると知るまで1年かかった」
 苦々しい顔でユピレはそう呟いた。エッド・ウォー沖での海戦後、ガープからフレイアが乗っていなかったと聞かされ、それ以来ずっとフレイアを探し続けていたのだ。
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