第2章 superfluous power
仕事を抜けて、バギーのバラバラの実の限界を試すという実験を始めた自分達なのだが、それで次の島で出禁を食らったのは想定外だった。久々に見習いである自分達も好きに上陸しても良いと言われており、3人揃って計画を練っていたため、フレイアが怒るのも無理はない。誰かと一緒じゃなれば上陸不可が父親に言い渡されているフレイアにとっては、2人の不在は非常に痛手だった。
「おい、お前1人でもこっそり降りて……」
「レイリーさんが残ってる船から抜け出せる自信があるか?」
「ねェな」
「ファイさんに付き添ってもらうわけにいかねェしな……」
今回最大の目的であったファイへの誕生日プレゼントをサプライズにしたいという、女の子らしい望みを思い出しながらシャンクスが呟く。こんなことなら真面目にやっておくんだったと考えたところで、後の祭りなのは分かっているのだが、出禁よりフレイアの機嫌を損ねた方が今は問題だ。
「……1人で行くから大丈夫よ」
「え」
「いや、それは」
「そもそも私だってもう12歳なんだから、御守りなんか要らないわよ!!」
憮然とした顔で言い切る姿にシャンクスとバギーが顔を見合わせる。確かに一理あるのだが、あの過保護な父親を思えば止めるべき場面だ。しかし、1人にした原因が止めたところでこのお転婆が聞くわけない。
「……電伝虫ちょろまかしてくる」
「頼んだ……おい、フレイア、絶対に何かあったら連絡しろよ」
「あんたら私の何なのよ」
「うーん、お兄ちゃん?」
「手のかかるお兄ちゃん達で大変だわ」
「悪かったな!」
すました顔のフレイアにべっと舌を出すと、持っていたペンが顔面めがけて飛んできた。
「あぶねッ」
「ちぇ」
「全く……海のように許容できる女になるって話はどこに行ったんだよ。心狭いぞ」
「海が荒れてないからちゃんと平常心ですー!」
そもそもシャンとバギーが悪いんでしょ! という正論に逆らう手札は持っていない。頬を掻きながら、黙って落ちたペンを拾うことしか出来なかった。
「お土産くらいは買ってあげるわよ」
「まじ!? じゃあついでに買ってきてほしいもんがあってさ」
「調子に乗るな!!」