第8章 Incomplete
入れ替わりでマルコの背から降りたフレイアが不敵に笑う背後では白ひげ海賊団が戦闘を開始したことを示す声や金属音が地上から響いていた。それを聞いた男は眉間にシワを寄せて扉の方へ足を向けた。
「アルヴァ、ここは任せていいね」
「直ぐ行きます」
「ハァ? 行けるわけないでしょう。貴方はここで私の相手が最後よ」
そう言って刀を構えるフレイアにアルヴァは嫌そうな顔で舌打を漏らした。
「レオ、怪我は?」
「あーちょっと肋骨が痛いくらい。床で寝てたから全身変な感じはするけど平気」
「とりあえず降りるよい。流石に重い……」
「根性みせろよ〜」
「自分はともかくレオーラの体格を考えろ」
怒気を含んだマルコの声に「おれはともかくってなんだよ!?」と怒鳴るエルトンを見てレオーラはやれやれという顔で降りる準備を始めた。一気に高度を下げたマルコは白ひげの近くで2人を降ろして人型に戻る。
「ただいま」
「ご苦労だったな」
「オヤジ、ごめん……おれが先走ったせいで」
「お前のせいじゃねェよ。お前は家族を助けようとした、そうだろ?」
「……」
白ひげの言葉にレオーラは力なく笑った。しかしすぐに表情を引き締めて辺りを見回す。
「最初に偵察に行かせた奴等の安否は」
「ああ、それなら」
『オヤジー! 行方知れずだった奴等を地下牢で発見! みんな怪我はあるが無事だ!』
「……だそうだ」
持っていた電伝虫からの報告をレオーラに聞かせると、レオーラは安心したようにその場に崩れ落ちた。焦ったエルトンが近くにしゃがむと、泣きそうな顔で笑い始める。
「良かった……!」
それを見たエルトンはレオーラの肩に手を置く。マルコも軽く頭を撫でると、白ひげは3人に声をかけた。
「いつまで座ってるつもりだ。戦闘はまだ終わってねェぞ!」
「はい!!」
「あ、僕の武器……」
「レオーラさん」
「あれ、貴方は……」