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鏡面【ONE PIECE】

第8章 Incomplete


「な、んで……」
「オヤジの采配だよ」
 レオーラを拘束している縄を切りながらエルトンは説明を始めた。
「この屋敷が抜け道やら隠し部屋だらけだって、昔まとめ役に聞いたことあったんだって。レオの無事を確認しないとおれが落ち着かないからさっさと見つけて来いって怒鳴られちゃった」
「でも1人なんて……」
「まさか、外にみんないるよ。おれの合図と同時に正面突破」
「……」
 立ち上がり手首を軽く回したレオーラは少し呆れ気味に苦笑した。
(確かに人数が揃った今、こそこそ頑張る必要はないのかもしれないけど……)
「ほら、いくぞ」
「どこにですか?」
「!?」
 唐突に扉が開き、男が2人入ってくる。その顔を見たレオーラの顔が僅かに硬ったのを見てエルトンは舌打ちした。
「お前らか、妙に強い2人って」
「別に僕は貴方達の前で一度も戦ってませんがね。アルヴァ」
「……」
 アルヴァと呼ばれた男が剣に手をかけたのを見て、エルトンは軽く右手を振った。
「あー、悪いけど今は手合わせしてやる余裕ないし、そもそもアンタの相手はウチの末っ子って決まってるから」
「エル?」
 左手で背中を軽く叩かれたレオは怪訝な顔で隣の幼馴染を見る。横目でチラリと合図を送られ、小さく溜息をつくとレオはエルの腕を掴んだ。
「どうやってこの状況から逃げ出すっていうんです?」
「んー? 扉が無理なら出入り口なんて一つだろ」
「は?」
 あくまで余裕を崩さないエルトンに苛立った様子を見せる男。それが面白いとばかりに更に笑みを深めたエルトンは突然レオーラを担ぎ上げた。
「扉がダメなら窓だろ!」
 そう叫ぶな否や、エルトンの背後の窓が外から大きな音をたてて破壊された。突然差し込んできた太陽の光を正面から浴びせられた男達は目元を覆って呻く。
「クッ、この家は」
「持ち主から伝言だ。クソ野郎に使われるくらいなら更地に変えてくれだとさ!」
 じゃあな! と叫んで飛び降りたエルトンとレオーラを不死鳥姿のマルコが難なくキャッチする。アルヴァは後を追おうと一歩踏み出したが、その瞬間外壁に空いた穴から飛び込んできた小さな影に部屋の中に戻された。
「はーい、貴方の担当の末っ子でーす」
「チッ」
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