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鏡面【ONE PIECE】

第8章 Incomplete


「ああ、割と残ってるね」
「まぁこれくらいなら許容範囲でしょ」
「ゼハハハ、頼もしいなァ」
扉を蹴破って館に入ると、エントランスではガラの悪い男たちが臨戦態勢で待ち構えていた。鉤爪を装着して猛然と向かっていくティーチの後ろから、主に重火器持ちを狙って的確に沈めていくレオーラ。フレイアは建物を傷つけないようになるべくコンパクトな振りで一人ずつ切り捨てていく。
 15分ほどでエントランスにいた最後を床に叩き伏せたティーチは首元を掴み、ニヤリと笑う。
「さて、おれ達の仲間はどこにいる?」
「し、しらな」
「それはねェだろ?」
 ゆっくりと手の力を強めていくティーチを横目で見ながら、追撃を警戒する二人は辺りを見回す。
(あまりに少なすぎる……外の要因だってそんなに多くない。外に集中し過ぎてたら危ないな)
「ち、ちか、地下に!!」
「どこから行くんだ?」
「そ、そこの扉から」
 震える手で男が一つの扉を指差すと、ティーチはニヤリと笑ってレオーラを仰ぎ見る。
「おい隊長殿!」
「ティーチは外の保護に行って。なんか胸騒ぎがする」
「いいのか? もし地下に敵が待ち構えてたら」
 ティーチのもっともな質問をレオーラが片手で制する。
「外が大丈夫そうなら戻ってきて。その判断は君に任せる。その程度の時間なら僕とフレイアで稼げるさ」
「任せておいて」
「……了解した」
  男を気絶させて走っていった背中を見送り、レオーラは銃に弾を込め直す。フレイアも刀を軽く振って調子を確かめると、深く鋭く息を吐いた。
「さ、行こうか」
「ええ」
「そんな緊張しないで」
「してない」
「してるって」
(エルのやつ、余計なこと言ったんだろうな)
 やけに前に出たがっていた様子を思い出して、レオーラはクスリと笑った。自分より焦っている人間を見ると逆に冷静になれる。それを実感しながら、強く銃のグリップを握りなおした。
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