第8章 Incomplete
「……」
少しの間があく。皆それぞれ選択肢と仲間の顔が頭をぐるぐると回っているのか、険しい顔をしている。
「……僕は助けに行く」
「!?」
普段は慎重派のレオーラの言葉にその場にいた全員が驚いた。しかし、当の本人は涼しい顔をしている。
「僕の不始末だ。自分で始末はつける」
「……じゃあ私も行こうかな。迷ってたレオの背中を押したのは私だもの」
「じゃあ、おれもだ」
ティーチがニヤリと笑いながらフレイアの隣に立つ。そんな姿を見た者達は、覚悟を決めた様子で全員立ち上がった。
「よし、やってやりましょう!!」
「こうなったら仕方ない」
「みんな、バカしかいないね」
「隊長が言い出しっぺでしょう」
隊員たちを見て静かに微笑んだレオーラは、一瞬で表情を引き締めた。
「最初に立ち上がった三人で突入する。囮役にさっき戦場に残っていた班を連れていく。先程東に向かっていた班は今回はお守り! 行動は辺りが暗くなってからとする!」
「了解!」
言い終えた後、レオーラはゆっくり自分の愛銃をホルスター越しに撫でた。
(もう失敗は許されない……絶対に助ける)
自分を追い込むように呟いた彼の顔に迷いは微塵もなかった。