第8章 Incomplete
「エルトンとレオーラ入りまーす」
「おう、座れ」
各隊の隊長・副隊長が勢揃いする部屋。珍しく緊張した面持ちで二人がそれぞれの席に着くと、白ひげが全員の顔を見て口を開いた。
「いくつか空席があるが、急ぎの話だ。始めるぞ。レオーラ」
「了解」
名指しされたレオーラは先程と同じ銃をとり出す。皆が見えるように翳して軽く振る。
「これはさっき襲撃してきた奴らからスッたものなんだけどね、ここ」
銃身の一点を指して、隣へと回していく。手にとってそれを見たものの多くが険しい顔つきをして銃を隣の者へ渡していく。
「気付いてる人も多いと思うけど、そこに掘られてる紋章はウチの縄張りのノーバ島の職人達が使っているものだ」
「つまりあそこの職人が武器商人でもやってるってことか?」
「そこまでは。でも」
「放っておくわけにはいかねェだろ」
レオーラの言葉を引き継いだ白ひげに全員が注目する。
「あいつらはマルコを確実に狙っていた。おれの息子に手を出したんだ。落とし前はきっちりつけさせるぞ」
ピリピリと肌を焼く感覚に応えるように全員が静かに頷いた。無論、このままで終わらせたい人間など1人もいない。
「あいつらをまとめてた奴は恐らく船長じゃない。そいつも電伝虫で連絡を取っていたからね」
「つまり、そいつをぶっ飛ばせばいいってことだ」
今にも乗り込まんばかりの士気の高さに白ひげは満足そうに笑って立ち上がった。
「航海士と話し合って、向こうに到着するのは5日後ということになった。全員準備と怪我を癒やすことに専念しろ!」
「はい!」
「了解」
解散の言葉に従って、怪我人から次々と部屋を出て行く。レオーラは回っていた銃を手に持って銃身を覗いたり引き金を動かしたりと弄び始めた。それを横から覗き込んだエルトンが不思議そうに彼を見上げる。