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鏡面【ONE PIECE】

第7章 番外編  喧嘩するほど仲がいい


「おれ達のような輩に育てられたにしては、あいつは真っ直ぐ育ってると思うぞ?」
「あいつの生来の性格のお蔭でな」
「あとお前ら比較的常識人組のお蔭でな?」
「比較的は余計だ」
 眉間の皺を緩めたレイリーは、懐かしむ様に目を細めた。
「まったく、最初はどうなるかと思ったがな」
「ハハハ、ファイが海軍のジジイに渡したくないって言い張ったんだから仕方ねェだろ!」
「当たり前だ。あのクソジジイに渡すくらいなら海賊の方がまだましだろ」
 帰って来て早々嫌いな人間の話を聞いて、不機嫌そうな顔をするファイが二人の向かいに腰を下ろす。
「何となく検討ついたぞ」
「お、シャンクスの方がアタリだったか」
 身を乗り出したロジャーを見てファイが軽く頷くと、先程までのやり取りを語りだした。




「おいシャンクス」
「え、あ、ファイさん……であってる?」
「あってる。少し話があるんだが」
 くい、と顎でついて来いと示すと、シャンクスが何度か首を縦に振る。まだ慣れていないのか、単純にファイが怖いのか、ぎこちない様子のシャンクスを見て肩を竦めると、ファイは普段自分が使っている部屋に彼を招いた。
「適当に座れ」
 椅子が三脚とテーブル、本棚といった必要最低限しか置かれていない部屋。きょろきょろと物珍しさに負けて部屋を眺めていたシャンクスにファイが言うと、大人しく手近な椅子に座る。
「あ、あの、おれ何かした?」
「……フレイアに何かしたのか?」
「ああ……そっちか」
 ほっとしたように胸を撫で下ろすシャンクスの向かいの椅子に座ると、ファイが彼を軽く睨む。
「お前が知ってるのかは知らんが、あいつはおれの実の娘だ。事と次第によっては……なァ?」
「ちょちょ待って!! おれにも原因は分からないんだよ!!」
 今にも刀を取り出しそうだったファイの雰囲気を見て慌ててシャンクスが叫ぶ。
「……ほんとか?」
「ほんと!! 確か二週間とちょっとくらい前の戦闘以来だと思うんだけど……原因はさっぱりでおれも困ってんだよ」
「二週間前に戦闘なんかあったか?」
「……ファイさん確か面白くないって敵船一個叩き壊してたじゃん……」
「面白い相手がいなかった敵船をいちいち覚えてやる人間に見えるか?」
「……」
 何とも言えない顔で笑うシャンクスにファイは「まァいい」と話題を逸らす。
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