第6章 新しい家族
「随分仲良くなったようだな」
「あ、え、はい……」
「ほら、フレイアー」
「うるさい、エル黙って」
「どうかしたのか?」
怪訝な顔で見られて先程と同じように視線をそらすフレイアを、背後で四人が微笑ましく見守る。
「お」
「お?」
「ぉ…………オヤジさんって呼んでいいですか!」
思い切って叫ぶように言ったフレイアに、何事かと船の中からもちらほらクルーが顔を出す。当の本人は腹を決めたからか、顔は赤いものの背筋を伸ばして堂々と白ひげを見上げていた。
「……」
しばらく虚をつかれたようにじっとフレイアを見下ろしていた白ひげだったが、しばらくすると肩を揺らして笑い始めた。
「グララララ、好きにしろ! お前はもうウチの娘だって前も言っただろうが」
「……」
その言葉に思わず俯いて視線を逸らしたフレイア。それを見て側でニヤニヤと笑っていたエルトンに白ひげの視線が移る。
「どうせまたエルトンがけしかけただろうが」
「バレてるぞエル」
「えー、けしかけたって心外」
「お前、レオーラの時も同じことをしただろうが。変なところで気回しやがって」
白ひげがエルトンとレオーラを交互に見ると、エルトンが無邪気に笑う。
「だってオヤジ、そう呼ぶと嬉しそうじゃん」
その言葉に軽く目を見開いた白ひげが唇を歪める。
「ガキが、生意気言いやがって」
「ハハ、フレイアも家族なんだから他人行儀は寂しいじゃない?」
白ひげとエルトンが笑い合っている中、ぼんやりとその様子を眺めていたフレイアの肩にマルコが手を置く。
「……お父さんもお兄ちゃん達もまるで違って、私は本当にここにいていいのか分からなかったの。乗せて貰えてるけど、皆私より強いし……私は必要なのかなって」
「……今はここがお前の居場所だろ。数年しかいないとか、考える必要はねぇよい。お前はみんなの妹だ」
「うん」
薄っすら目元に涙を浮かべながらフレイアが小さく頷いた。
「強く、なりたいな。みんなを守れるくらい」
「兄貴の立つ瀬がねェから暫くは守られてろい」
「はは、嫌だ」
「生意気な妹だねェ」