第17章 悪戯
光秀は暫くそのままさえりを後ろから抱きしめ、さえりも光秀の腕を抱きしめていた。
二人は荒い息を整える。
夜の静寂が二人を包み込む。
「あ、あの、恥ずかしいんですけど……」
息が整う頃、下半身が丸出しになったままのさえりが赤い顔で光秀に訴えた。
「そうだな」
苦笑いしながら光秀は腕を解き、自分とさえりの着物を整えた。
外であんなに乱れておいて今更恥ずかしい、か
光秀はさえりをじっと見つめた。
「どうしたんですか……?」
さえりが首を傾げて聞いてくる。
「いや……」
目を逸らし、口許に手を当てる。頬が染まる。
「お前と居ると、理性を制御出来なくなるな……」
本当は、政宗の御殿では口づけ程度の悪戯で、あそこまでするつもりは無かった。少しやり過ぎた、と思っていた。それは今も同じだ。
さえりの頬が緩む。
「何をにやけている?」
「秘密ですっ」
さえりは慌てて両手で頬を押さえる。
「ほう、俺に秘密があると宣言するとはいい度胸だ。ゆっくりと暴いてやろう。さてどう暴かれたい?もしかして、さっきと同じ事をされたいのか」
「違います……!」
もう、とむくれたさえりは、一呼吸おいてから照れながら言った。
「貴方を翻弄しているようで、嬉しくて……」
「…………」
光秀は唖然とする。さえりは全くわかっていない。お前はどれだけ俺を……
「御殿に帰って説教だ」
「ええっ、何で……!?」
光秀はさえりの手首をむんずと掴み、御殿へ向けてずんずんと歩き出す。
御殿に帰ったらさえりを思う存分堪能しながら、どれだけお前が俺を翻弄しているか説いてやろう。いや、黙っておくのも一興か。
光秀はどうすれば一番さえりの反応を愉しめるかを考えながら、さえりの手を引き御殿へと帰っていった。