第17章 悪戯
じゅぼっ、と音をたてて光秀の指が蜜壺から引き抜かれた。
「は、あっ……」
さえりの口から、吐息が漏れる。
イくなと言われたから、必死で止めたが、身体はイく事を求め、火照ってしかたがない。
イきたい、けど、ここじゃダメ……
さえりは自分の身体を抱きしめ、必死で熱を抑え込む。
光秀は愛液まみれの指をさえりの口許にかざし、軽く唇をこじ開けた。
それに答えるようにさえりは舌を出して、光秀の指を舐める。
なんともいえない匂いと味。
何度舐めても慣れない。
顔をしかめながらも光秀の指に舌を絡ませ綺麗にしていく。
暫く黙って見ていた光秀は、ある程度さえりが舐め終わると、手を取り立ち上がった。
「帰るぞ」
「はい……」
光秀は帰り際にふと立ち止まり、三成の髪を軽く引っ張った。
「何してるんですか……!」
さえりは驚きの声をあげるが、三成は戦術書から全く目を離さない。
「良かったな、大丈夫そうだ」
ニヤリと笑いさえりを見る。さえりは口を半開きにして言葉を失っていた。
今度こそ二人はその場を後にした。
「ああ、面白かった」
戦術書をパタンと閉じて三成が呟いた。
周りを見ると光秀とさえりは居らず、政宗だけが寝ており、布団をかけられていた。いつの間にか自分の肩にも羽織がかけられている。
「失礼を、してしまったでしょうか……?」
つい戦術書に夢中になってしまった。周りが見えなくなってしまう、悪い癖だ。
反省したその時、ふと気づく。
「?」
匂いがした。
かすかに、ツンと鼻を刺激する甘い匂い。
何の匂いだろうと三成は首を傾げたが、それほど気には止めなかった。
「秀吉様や家康様にもこの本をお勧めしよう」
きっと喜んで頂けるはず、と三成はうきうきしながら御殿へと帰っていった。