• テキストサイズ

きつねづき ~番外編~

第32章 あなたがこの世に生を受けた日 <後編>


翌日。さえりは城で針子の仕事をしていた。針子仲間と楽しくおしゃべりしながら手を動かす。すると襖が開き、そこに九兵衛が現れた。

「九兵衛さん! お帰りなさい。昨日はありがとうございました」

さえりは立ち上がり、九兵衛を出迎えお礼を伝える。

「いいえ。楽しく過ごされたようで何よりです」

九兵衛の見透かすような口振りに、まだ何も言ってないのにとさえりは首を傾げた。

「お顔を見ればわかります」

にこりと九兵衛が微笑む。さえりは思わず頬を押さえた。そんなに顔に出ていたのかと気恥ずかしく感じる。

「それよりも。今、光秀様は信長様に呼ばれていて天主におられますよ」

さえりはハッとした。まだ、やらなければならない事があったからだ。

「ごめん、ちょっとだけ抜けるね! 九兵衛さんありがとう!」

針子仲間にそれだけ伝え、さえりは部屋を飛び出した。

/ 254ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp