第32章 あなたがこの世に生を受けた日 <後編>
触れている場所全てが熱くて、ドロドロに溶けてしまいそうな程に互いの熱が混ざりあう。さえりの中はヒクヒクとヒクついて、光秀を咥えこみ離そうとしない。
「あぁ、はあ……っ、光秀様……もっと……」
足りない。光秀が足りない。こんなに触れ合って肌を溶かしているのに。もっと、と貪欲に光秀を求める。どうすれば満足できるのか。
「ああ……さえり……もっと寄越せ」
光秀も同じなのだと気づく。手を伸ばして光秀を力一杯抱きしめた。
「愛してる」
どちらともなく愛を伝え、後はもう、言葉は必要なかった。貪るように貪欲に与え、与えられ、溺れていく。
「んっ……あっ……い、く」
この世にはあなただけが居ればいい。
「はあ……んっ、あぁ、あぁ、あああーーっ」
ビクビクと身体が跳ね、止められない。それでも心が身体があなたを求めてやまない。
「さえりっ」
強く抱きしめられ、今までよりももっと強く腰を打ち付けられた。
今この瞬間、さえりは光秀だけを感じ、その欲望を全て受け止めた。