第23章 咳逆疫
政宗が作ってくれた粥を食べ、家康が用意してくれた薬を飲み、甲斐甲斐しい光秀の看病でさえりはどんどん回復していった。
見舞いの品にと秀吉から果物が、三成からはお伽草子が、信長からは何故か金平糖が届けられていた。
ありがたいな、と心から思う。
「光秀さん。ありがとうございます」
ずっと看病してくれていた光秀にお礼を言う。もう起き上がれるまでに回復していた。
「良かった」
光秀がフワリとさえりを抱きしめる。
え?
さえりは驚愕した。光秀の体が、熱い。よく見ると顔も少し赤い。慌てて額に手をあてる。
「だから言ったじゃないですか……!」
「悪い……」
光秀はそのまま褥に倒れこんで瞳を閉じ、眠ってしまった。さえりは泣きそうになる。
その時、部屋の外から声がかかった。
「さえり、光秀さん、入るよ」
家康が襖を開けて顔を覗かせた。
「さえり、元気になった……え?」
褥に倒れこむ光秀と泣きそうなさえりを見て家康は状況を理解する。
「二人して何やってんの……」
はーっとため息をついた後、薬を持ってくると言って家康は一旦部屋を出る。
今度は私が看病する番だとさえりは気持ちを切り替え、光秀の額を冷やすためタライに張った水に手拭いを浸した。