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《彩雲国物語》花より翼

第3章 幸せな時間


同時に、梨雪は“鳳麟”の妹らしくない程“いい子”だ。

自他ともに認める大嘘つき、極悪な兄の妹であるのに、真っ直ぐでかわいい。
お礼はちゃんと言う、嘘というかイタズラはするけれど、直ぐ謝るし、そもそもイタズラはかわいいものだ。
いや、晏樹が実はキツネの化身だということを、理論立てて旺季様に説明して、それを旺季様が鵜呑みにして、陵王様が爆笑し、挙げ句の果てに皇毅が晏樹においなりさんを差し入れに行ったときは、晏樹だけ本気で焦っていたし怒ってたか。
そんなことはどうでも良いのだ。晏樹だし。

要は、梨雪の可愛さが、子供好きな旺季様、その血を受け継ぐ飛燕様、意外と世話焼きな陵王様はもちろんのこと、屏風から抜け出てきたように(旺季様談)無表情な皇毅、挙句の果てに子供はうっかり殺してしまう晏樹にまで気に入られるほどだということだ。

さっきも言ったが、当然のように僕は梨雪を溺愛している。
冷酷な“鳳麟”の僕はどこへ?と自分で不思議に思うくらい、梨雪に関してはだけ、あの馬鹿王への完全な勝利がなくなったことに感謝している。

ーー最も、完全な勝利が潰えたのは、あの時無理矢理僕を治療した旺季様と、完全に解毒した梨雪のおかげであるから、馬鹿王に感謝する気は全くない。


それこそ、死んでも御免だ。
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