• テキストサイズ

【血界戦線】歌声は遠くに渡りけり

第5章 運命の歯車




──どうすればいい。
どうすればこれから起こる大惨事を止めることが出来る?


ホームには駅員の姿は無い。

どうにかして、誰かにこの事実を伝えなければ。


私はひとまず改札へと向かい、そこにいる駅員へ事情を伝えようと試みた。


改札の近くにあった切符を買うためのブースの中に、駅員の姿が見えた。


ドンドンとそのブースの窓を叩くと、中の眼鏡をかけた駅員がうるさそうに顔をあげた。

「あの! 今出た列車を止めてください!!」

「はぁ? 忘れ物か何かですか? それでしたら、先の駅に連絡しますので……」

「違うんです! あのまま走らせては、事故を起こします!!」

「事故? はは、ご冗談を。あの車両にはきちんと“脳”がついておりますから」


眼鏡の駅員は、私の話をまったく本気に受け取ろうとしない。
突然やってきた子供が喚き散らしたところで、いたずらか冗談だと思ったのだろう。

たとえ兄の力の話をしたところで、この駅員は質の悪いいたずらだと一笑に付すに違いない。


「とにかく、列車を止めるよう連絡してください!!!」


それだけ叫んで、もう駅員の返事は聞かずに、私は他に助けを求めて地上へと駆けあがった。


/ 310ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp