第4章 邂逅
先ほどの氷の塊も、ミスタ・クラウスの背に現れた大きな十字架も。
初めて見た私にとっては、魔法にしか見えなかった。
不思議な光景に呆然としている私に、ミスタ・クラウスは再度かがんで私の目をのぞきこんだ。
「安全な場所に避難して下さい。ここは先ほどの衝撃であちこち亀裂が生じている。建物が崩壊する可能性も考えられます」
「はい……」
こくんと頷いて見せると、ミスタ・クラウスも小さく頷き、瓦礫に埋もれた人々を助けに向かっていった。
──ミスタ・クラウス。
彼は、私が初めて出会った紳士だった。