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【血界戦線】歌声は遠くに渡りけり

第24章 “Long time no see.”



「スターフェイズさん、報告が。これを見てください」
「おい!!このデカチチ女!!なーに俺様の邪魔してくれちゃってんだよ!!」
「喚くな銀猿。報告の邪魔よ」
「邪魔してんのはどっちだよ!」

喧しく喚くザップを横目に、スティーブンはチェインから一枚のビラを受け取り目を通す。
ビラには大きな文字で『伝説のタイトル・マッチ再び』と書かれている。
そして驚いたことに、そこにはクラウスの名も一緒に記されていた。

「クラウス、君三日後に試合する事になってるぞ」
「私が?」
「ほら見てみろ」

スティーブンから受け取ったビラには、確かにクラウスの名がひと際目立つフォントで記されていた。
クラウスの身に覚えはない。誰かが勝手に試合を組んでいることに間違いはない。

「その興業主の名を聞いたらもっと驚きますよ。“イアン”と名乗っているそうで…っていい加減俺の上からどけよ犬女!!つーか人の報告横取りしてんじゃねーよ」
「横取り? するワケないでしょ。私は入手した情報を一刻も早くスターフェイズさんに報告しようとしただけ。重要な情報を掴んでたのにずっと報告上げなかった誰かさんみたいな事、したくないの」
「くっそ…リアーナの事はちゃんと説明したろうがよぉ…!!
いつまでも引っ張んなよその話」
「チェイン、ザップ、このビラはどこで手に入れたのかね」
「どこって、ちょっと地下の賭博場に潜りゃすぐ手に入りますよ。こういうのに興味ありそうなヤツがいるとこじゃ、どこでも出回ってるぜ旦那」

ビラ自体は特別なものではなさそうだった。
ごく普通の安い印刷所で刷られたものだろう。

「わざわざ“イアン”の名前を出すってことは、よほど君に来てもらいたいんだろうね、あのお兄さんは」
「うむ……おそらく、私がアメリアに繋がっていると考えているのだろう」
「向こうがどこまでこっちの情報を掴んでいるのか知らないが、僕らの事を舐めすぎだな」

いくらイアンの側に幻術を使う者がいたとしても、ライブラには幻術を見破る義眼を持つレオナルドがいる。
以前ダイナーでイアンと対峙した際にはレオナルドは現場にいなかったが、今回はレオナルドの眼がある。

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