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【血界戦線】歌声は遠くに渡りけり

第22章 少女の影を探して



目に浮かぶオーラの色に、レオナルドは既視感があった。
この色は、まさか。

「リアーナの匂いがする」

義眼を使うレオナルドの後ろで、ボソリとザップが呟いた。

「じゃあやっぱり、このオーラは」

レオナルドの中で自分の目に見えたものが間違いでないのだと確信に変わっていった。
ぼんやりと光るオーラの色は、以前ダイナーで目にした少女──いまだ行方の知れない“リア”のものと同じ。

砂漠の中から一本の針を見つけたような、奇跡的な発見にレオナルドの心拍数が一気に上がっていく。

「ここに残ってんのか痕跡が」
「ええ」
「どっち行った」
「ここから先、ずっと真っ直ぐ……でも途中で消えてます」

興奮で高ぶっていたレオナルドの声音は次第に力を無くしていった。ザップも苦々しい顔で舌打ちをする。

リアーナの残り香が場に漂っているということは、彼女がここにいたのはごく最近なはずだ。
もう一足早ければ、今頃はリアーナの身柄を確保出来ていたかもしれない。

「まだそう遠くには行ってねぇはずだ」

レオナルドの義眼と、自身の鼻を持ってすればもしかすると今からでもリアーナの元に辿り着けるかもしれない。
ザップのそんな望みは次のレオナルドの言葉で簡単に消されてしまった。

「…いえ、消え方が不自然です。ここにしかオーラは残ってないように見えます」
「あ? じゃあ途中でパッと消えちまったってことかよ」
「多分。テレポートかなんかじゃないっすか」
「……マジかよ。それじゃあ足取り追えねーじゃねーか」

義眼は、見えないものまで見える。
しかし万能ではない。
場に漂うオーラの残滓を追う事は出来ても、空間を越えて移動した場合はその後を追う事は出来なかった。

ザップは頭を抱えてしゃがみこんだ。
リアーナがこの場にいた事が分かったのは収穫ではあるものの、そこから先の足取りが分からないのであればこのまま事務所に戻ってもスティーブンは良い顔をしないだろう。

「レオ、お前は戻って番頭に報告しろ。俺はもう少しリアーナの居場所を探る」
「分かりました」

ソニックがレオナルドの体によじ登り、褒めて欲しそうにレオナルドを見つめた。

「お手柄だな、ソニック」

その言葉にソニックは嬉しそうに鳴き声をあげた。


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