第21章 それは甘くかぐわしい香り
けれどとうとう腕にも力が入らなくなったのか、バランスを崩したクラウスさんは私の体の上に倒れこんだ。
「すま、ない……すぐにどこう」
クラウスさんの熱い息が、言葉とともに下半身にかかる。
ちょうど両足の間──この間クラウスさんに触れられ熱くなった部分。
カッと体が熱くなるのを感じた。
また体の奥から熱い蜜がじわりと溢れてくる感覚がする。
私の体が熱くなっていくのに比例して、クラウスさんの息も荒さを増していった。
彼が息を吐けば吐くほど私の体は火照り、そうするとさらに彼の吐き出す息は熱くなる。
「んっ…!」
熱さに耐えきれずに声を漏らしてしまった。
瞬間、ピクリとクラウスさんの体が動く。
なんとか起き上がろうと彼が顔を動かすものだから、鼻先が敏感な部分を擦っていく。
「あっ、ダメ……」
じわりと下着に染みこんでいく、溢れ出た蜜の感触。
クラウスさんが動くたびに震えてしまう体を、懸命に抑えようと努力した。
「アメリア、すまない、力が……」
「んあっ…クラウスさん、それ以上、うごか、ないで……」
必死で体を起こそうとクラウスさんが試みる度、擦れる箇所が熱さを増していく。熱く、熟れた果実のように徐々に膨らみましていく自分の体を、どうコントロールしたらいいのか分からない。
もう、彼の吐息だけで達してしまいそうだった。
体中から甘い匂いが漂っているのが自分でも分かる。
興奮すると自然と体から漂い始めるこの香りは、催淫効果のあるものだ。
私自身には効かないはずなのに、今はこの香りに頭の芯までクラクラさせられている気がする。
「クラウスさ…ごめ、なさい…私の、せいで」
彼が倒れこんでしまったのは、多分この匂いのせいだろう。
原因は分かったものの、どうすることもできない。
私の興奮がおさまれば自然と匂いもおさまっていくけれど、今のこの状況では……。
「アメリア、きみは、何も悪くない……私の、心が弱いのだ」
「そんな、こと」
クラウスさんの心が弱いだなんて、あるはずない。
そんなこと言ったら、私なんて。
はぁ、と吐き出された息が湿り気を帯びた下着にかかった。
それだけでぶるぶると震えだす体を、うらめしく思った時だった。
下着が先ほどよりしっとりと濡れ始めた。
それと同時に生温かいものがスカート越しに秘部に触れる感触が伝わってくる。