第19章 熱にうかされたふたり

ぶるん、と下着から顔を出した欲望の塊は、血管を隆々とさせ滾る血を一身に集めている。
天を仰ぎ見るように真っ直ぐに上向いたそれをしげしげと眺めていると、時折ピクピクと小刻みに震えた。

先端から透明の液体が湧き上がり、つぅっと滴り落ちそうになった。
舌先でそれを舐めとると、クラウスさんは目を見開いた。

「そのような、事を、」

──君にさせるつもりはない、とでも口にしたかったのだろうか。
クラウスさんが言葉を続ける前に、赤黒くそそり立った肉棒を頭から咥え込んだ。

「んぁっ......!!」

快感に耐えかねるように、クラウスさんの手がシーツをぐっと握りしめた。
咥え込んだまま、口の中で舌を動かす。
先端の鈴のような形の部分をコリコリと刺激してやると、呻き声とともにクラウスさんの腰が浮いた。

膨らんだ肉棒は今にも口中で破裂してしまいそうだった。
それなのになおも膨らみ続けているようで、口の中に入りきらなくなってくる。

咥え込んだまま肉棒を上下させる事を諦め、先端だけ口に含んで、竿の部分を手で包んで根元から擦りあげた。

「駄目だ、それ、以上は......!!」

必死の懇願を聞き入れる気は無い。
クラウスさんは手で私を払いのけようとするけれど、力は入っていなかった。

本心ではこのまま達したいと願っているからなのか、私が追撃の手を緩めることがないからなのか、どちらかなのかは分からないけれど。

聞こえるようにわざと音を立てて先端を口から出し入れする。
肉棒の先は、ジュルジュルと、唾液とクラウスさん自身の液にまみれていく。

「っ、アメリア......!」

私の名を口にしたのが先か、青白い液体が飛び散ったのが先か。
どちらにしても同じ事だった。

口中に広がる苦味。ドロリとしたそれを、ためらいなく飲み込めたのは、そういった行為に慣れていたからだけじゃない。
クラウスさんの、彼のものだから。

彼の全てを受け止めたい。受け入れたい。

そう思って取った行動だったけれど、クラウスさんはとても悲しそうな顔をしている。

まるで私のしたことが大きな間違いだったみたいに、先程まで浮かべていた悦楽の表情は影も形もなく、ただただ悲しげな顔をしていた。