第19章 熱にうかされたふたり
駄目押しのように、クラウスさんは数度指先を動かした。
その度にすでに果ててしまったはずの体が、余韻を噛みしめるようにビクビクと反応を見せた。
くったりと体の力が抜けて全身を預けた私を見て、ようやく納得したのか静かに指先が衣服の外へ出て行く。
「......アメリア、大丈夫かね?」
果てた後、目を瞑ったまま動かない私に心配そうなクラウスさんの声が降ってきた。
「......貴方は?」
私を心配するクラウスさんの下半身はいまだ硬い。
しばらくすれば下半身に秘めた熱は冷めるのかもしれない。
彼が自分で処理する姿はあまり想像出来なかった。
多分、嵐が過ぎ去るまでじっと耐えるつもりだろう。
「私は、別に」
目を開けるとクラウスさんと目が合った。
目が合った瞬間、彼は気まずそうに目をそらす。
私を使ってくれて構わないのに。
私の過去を知っているから、私を抱く事は許されないと思っているのだろうか。
けれど体は正直なもので。
体を起こしてくるりと反転させて、クラウスさんの下半身に顔を近づける仕草をしただけで、彼は大いに動揺を見せた。
「アメリア、一体何を」
「私だけが良くなっちゃ、ダメでしょう?」
「いや、私はそのようなつもりは」
制止するクラウスさんを無視して、ズボンのチャックを開ける。
大きな手が開いたズボンの口を隠すけれど、隙間から指を入れて軽く刺激すると、低い呻き声がクラウスさんの口から漏れた。
「っ、いけない」
「いけなくなんか、無いです。誰だって、こんな気持ちになる事はあります」
「しかし」
口では拒否の姿勢を見せつつも、クラウスさんの体は素直に刺激を受け入れている。
その証拠に、自身の下半身を覆っていた大きな手が少しずつ防御を緩めていた。
「今度は私にまかせてください、クラウスさん」
「っ......!」
大きな手を退けて、山のように膨らんだ姿にそっと触れる。
瞬間、ビクンとクラウスさんの体が震えた。
ほんの僅かな刺激でも、達してしまいそうに見える。
微かに涙をためたクラウスさんの瞳は溜息が出るほど美しく思えた。
ぐっと唇を噛み締めて、快楽に押し流されまいと堪える彼の姿に、むくむくと意地悪な気持ちが芽生える。
「我慢しなくていいんですよ」
下着をずらして、彼がひた隠していた欲望を灯りの下にさらけ出させた。