第19章 熱にうかされたふたり

(貴方も、私と同じ気持ちで居てくれてるの──？)

硬く押し当てられた彼の下半身は幾重にも布に包まれているというのに、熱を感じるほどに大きく膨らんでいる。
お尻に当たる感触だけでも、彼のモノがどれ程の欲望を秘めているのか分かる。

その欲望を受け止めたい。
私で包み込んで、全て解放させてあげたい。

クラウスさんの制止を振り切って、また腰を揺り動かす。

「うっ......!」

耳元でクラウスさんが低く呻いた。

下着の中で、指の動きが止まる。
止まったかと思うと、首筋にほんの少し痛みが走った。
歯の先が肌に食い込むような感触。
これでもきっと、クラウスさんはギリギリのところで自分を抑えている。
出血するほどではない。

首筋に立てられた牙は、頼むからこれ以上刺激をするなと、懇願しているように感じられた。

彼の意思に逆らってこのまま刺激し続けたらどうなるだろう。
ズボンの下で抑えつけている欲望を解き放つだろうか。
いくら彼が強固な意志を持っていたとしても、ヒトが生まれながらに持つ欲求に抗い続けるのは難しいのではないだろうか。

彼とひとつになれるのなら、例えそこに愛が無かったとしても、単に欲望の捌け口として私を選んだのだとしても、構わない。

立てられた牙は離れそうにない。
太ももを押さえつける力も強くなっていく。

ぷくりと膨れた豆粒を擦る指の動きも、緩急をつける事なく私を急かすように激しくなっていく。

彼は自分が抑えられなくなる前に、事を終わらす腹積もりのようだった。

私か、彼か。

どちらの我慢が先に破れてしまうか。
そんな状況だった。

「っ、アメリア」

不意に、クラウスさんが私の名を呼んだ。
吐息交じりのその声を聞いた時、それまで急かすように動いていた指先が突然、目標を変えていまだ液を溢れさせている蜜壺へと向かった。

体はすでに受け入れる準備が出来ていると言わんばかりに、するりとクラウスさんの太い指を飲み込もうとする。
一瞬深い穴の中に吸い込まれそうになったものの、私の下で堪える彼と同じように、指は意志を持って引き返し、再び先程の豆粒の元へと舞い戻った。

収まりかけた快感が引き戻される。
先程一度達しかけた気の昂りが、一気に上り詰めていく。

「あぁっ」

声とともに体が大きく波打つ。
快楽の波が体を一気に駆け抜け、通り過ぎていった。