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【血界戦線】歌声は遠くに渡りけり

第18章 ライブラへようこそ



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「泣き疲れて寝る、ってマジであるんスね」

ザップの言葉にスティーブンも頷きそうになった。

ひとしきりK・Kの腕の中で泣いていた少女は、静かになったかと思うとすやすやと寝息をたてていた。

今は彼女の為にこしらえた部屋のベッドの上だ。

K・Kから壊れ物のようにそっと少女を受け取って、部屋に運ぶクラウスの姿に何か感ずるものがあったのか、K・Kはニヤニヤと笑みを浮かべていた。

部屋から戻ったクラウスを、K・Kはそのニヤニヤ顔のまま出迎える。

「んもぅ、クラっち。貴方も隅におけないわね~」

「……? 何がだろうか、K・K」

「事務所に連れ込むなんてやるじゃない。クラっちも意外と大胆なことするのね」

「連れ込……いや、K・Kそれは違う。これは彼女の身の安全を考えてだね」

「うんうん、そうね、分かってる。いいのよ貴方も一人の男性なんだから」

「……K・K、君は何か誤解しているようだ」

「誤解? そうかしら」

K・Kの左目がきらりと光った。
まるで心の奥まで見透かしそうなその目に、クラウスはたじろいでしまう。

奥深くにしまいこんだ、アメリアへの邪な想いを暴かれてしまいそうで、クラウスはK・Kの視線から逃げるように目を伏せた。

「彼女をかくまうのはあくまで緊急避難の為であり、それ以上の意味は何もない」

「私は別に構わないと思うのよ? 無理強いしちゃ駄目だけど、貴方はそういう事はしないでしょうし。想う心はあってもいいんじゃないの」

「……私は、彼女を保護すべき対象としか見ていない。邪な想いなど、決して抱きはしない」

「なんだか、そう自分に言い聞かせてるみたいに聞こえるわ」

「……」

K・Kの追及に、クラウスはとうとう押し黙ってしまった。

何と言葉を返そうとも、K・Kにはいいように取られてしまう。

けれどもそれはクラウスの本心をずばり言い当てているものだから、何も言えなくなってしまったのだ。

「だけどK・K、彼女はまだ16だよ。仮にクラウスと何かあったとしたら、それはマズイんじゃないかい」

「スティーブン、君まで何を」

突然口を挟んできたスティーブンに、クラウスは驚きを隠せないでいた。

まさか彼がこのような話にのってくるとは微塵も思っていなかった。

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