第18章 ライブラへようこそ
自分がいた環境がどれほど歪んでいたのかを、改めて見せられたようだった。
「えっ、どうしたの? 私何か悪い事言っちゃったかしら?!」
ぽろぽろとアメリアの目からこぼれ落ちるものを見たK・Kが慌てだすと、アメリアはふるふると首を振った。
「…いいえ、違うんです。ミス・K・Kの優しさが嬉しくて……」
「アメリアっち……」
K・Kも、他のメンバーも、アメリアの生い立ちについてはほぼ事情を把握している。
彼女に同情をよせない者はいなかった。
たとえそれが同情だとしても、自らに向けられた優しい眼差しをアメリアは嬉しく思わずにはいられなかった。
「私達に、たくさん甘えなさい。貴方は今までずっと耐えてきた。もう一人で抱えなくていいのよ。誰かに寄りかかかって、うんと甘えていいの。貴方を支える手は、ここにたくさんあるわ」
我が子にするのと同じようにK・Kはアメリアをぎゅっと抱きしめた。
K・Kの溢れる愛情がそうさせたのか、人から受ける優しさの許容量を超えたのか、アメリアはそのままK・Kの腕の中でわんわんと泣き出した。
広い執務室に、アメリアの泣き声だけが響いていた。