第14章 尋問の時間
「……両親の名前まで一致するとなると、同姓同名の別人だという線は限りなくゼロだ。君は死んだアメリアか、それとも彼女の名を騙った別の誰かという話になってくる」
ミスタ・スターフェイズは腕を組みなおして、私をじっと見定めるような眼差しを送ってくる。
私が嘘をついていると仰りたいのだろうか。
「お待ちください。どうして私が死んだと決めつけられるのですか。さっきから申し上げているように、私はアメリア・サンチェスです」
そうとしか言いようがなかった。
私は、私だ。
それ以外の何者でもない。
「君のご両親…ミスタ・アントニオとミス・ジャンナに確認を取った。彼らは二人とも“ミス・アメリア”は亡くなったと証言している」
私は、私。
そのはずなのに。
味方だと思っていたミスタ・クラウスさえも、私をお疑いになられている。
そんな顔をなさらないでください。
私は、アメリア・サンチェス以外の何者でもありません。
「……どういう事でしょう。私は、アメリアです……兄のイアンだって……」
私の頭は混乱を極めていた。
私の名前だけならともかく、両親とも同姓同名なんて偶然が起こりうるとは考えにくい。
ミスタ・クラウス達が確認を取ったのが、私の両親であるならば、両親が私が死んだと嘘をついた理由は何なのか。
分からない。
愛情を注いでくれたとは決していえない両親だったから、私と関わり合いになりたくないという気持ちから嘘をついたのだろうか?
「これは、僕らの推論なんだが。君は、オリジナルのアメリアから造られたクローンの可能性が高い」
「何、を仰っておられるのですか……? クローン? 私が?」
ミスタ・スターフェイズの発言に、混乱していた頭は余計に混乱を極め、冷静な思考が出来なくなってしまった。
私は私。
クローン? そんなはずはない。
そう思うのに、バクバクと心臓の音がうるさくなる。
自分で自分の事が信じられなくなってくる。
私は、一体何者なのだろうかと。
「君がもしクローンであるなら、造られた場所の記憶があってもいいはずなんだが……何も覚えていないか?」
「……そんな記憶は、ひとつもありませんわ。私はアメリア・サンチェスですもの」