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【血界戦線】歌声は遠くに渡りけり

第14章 尋問の時間



「ミスタ・クラウスは悪くありませんわ。悪いのは、あの教会の人達と……私達を買った人達です」

私達は、存在を隠されていた。

いくらミスタ・クラウスがこの世の平和を守る為に、日夜活動されていたとしても、私達を見つけることは難しかったのではないかと思う。

それに、この街では私達の事以上に、世界の崩壊に迫る出来事が多発しているという話だったし……私達の存在が見過ごされていたのも仕方のない話だと、今は思う。

「では次はその教会について聞かせてもらおう。他の子供、出入りしていた客、君達を監視していたクラブの人間……知っている事を話して欲しい」

「子供は、私を含めて12人いました。…それぞれに、番号を割り振られ、教会ではその番号で呼ばれていました」

「これか」

ロウ警部が、数枚の写真を私に見せた。

その写真には、教会のベッドが置かれていた部屋──その壁に貼られた讃美歌の楽譜が写されていた。

「子供達の名前と番号を教えてもらえるか」

警部に尋ねられ、私は順に答えていった。


「──No.515は、君で間違いないな?」

「ええ。私が515です」

ぐい、と襟元を開いて、あの刺青を見せた。

瞬間、それを目にした三人の目が険しくなる。
一瞬のことではあったけれど、自分が責められたような気がして、怖かった。

「…出入りしていた客については何か情報を知っているか」

「常連の方であれば、ある程度顔は覚えていますが……名前などの素性は全く分かりません。私達には知らされませんでしたから。…ただ、身なりからしてそれなりに裕福な方が多かった、とだけ」

「裏の春を買うようなやつだ。それなりに金は持ってるだろう。客の特定は難しいか……では、クラブの関係者について何か知っている事は」

「教会には、牧師様がお一人と、昼の間──教会として開かれている間のみ手伝いにいらっしゃる方が数名いらしただけです。…クラブに関与していたのは、牧師様お一人だけだと思います」

「他に、監視をしている者はいなかったのか? 12人もいる子供の管理をその牧師一人で?」

「ええ。私の知る限りでは」

私が何か重要な手掛かりを持っていると思われていたのだろ
うけれど、私の話からは特に得られるものが無かったようで、残念そうにミスタ・スターフェイズとロウ警部のお二人はため息をつかれた。

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