第10章 カミングアウト
卒業式に近くなるにつれて、想いは日に日にぶり返していく。
「そんな時だった。ヒロアカに出会ったのは……」
突然、部活終わりに綾香に話しかけられた。
私は嬉しくて、話を合わせるためにヒロアカを調べた。
そしたら、ヒロアカを沼にハマるように好きになっていった。
先輩が卒業式して、先輩のことがどうでもよくなるくらいヒロアカにハマっていた。
「だけど、それは自分の心に嘘をつくためだったんだ。先輩への想いをヒロアカで潰していた」
「零……」
「やっぱり私は、あの人を嫌いになんかなれなかった!どんなに避けてもダメだった!」
私は涙を流していた。
「かっちゃんがサッカー部にいじめられたのを知って、申し訳無かったの。私のせいで誰かを苦しめてるって……」
「……違う、そんなわけないよ!」
出久の言葉に目を見開く。
「全部あっちの勘違いじゃんか。どこが零ちゃんのせいだって言うの?おかしいじゃん!」
「出久……」
「僕はそんなことないと思うよ。そのヒロアカを教えてくれた子も君にとってヒーローでしょ?」
そうだ。昨日、綾香に助けられたんだ。
気付かなかったけど、紗希にも助けられていた。
「現実にだって、ヒーローは居るでしょ?」
居た……居るんだ。
私を支えてくれたヒーローが……。