第10章 カミングアウト
今日の授業が全て終了し、みんなは寮に戻る。
かっちゃん、何してるんだろう。
あの日記を読んで、どう思ったかな。
「零ちゃん、ぼーとしてどうしたの?」
話しかけてきたのは、出久だった。
「あのさ……私の話、聞いてくれる?」
「うん、聞くよ。全力で君の力になってみせるよ」
出久の言葉に私は嬉しくなった。
私は出久の部屋に連れて来られた。
案の定、オールマイトで埋め尽くされていた。
「かっちゃんには申し訳ない。私の過去で辛い思いさせて……出久に謝ったんだって?」
「うん……あのかっちゃんが謝ってきて驚いたよ。何かあったのかなって思った」
「全部、私の過去のせいだよ」
私は自分の過去を全て話した。
町で先輩とすれ違い、ストーカーだと言う噂が流れた。
サッカー部や先輩達、同学年に陰で色々と言われることが多くなった。
先輩と廊下ですれ違う度に笑われる。
もう限界で、リスカや逃走したこともあった。
「それでも現実は変わらなかった」
最悪のタイミングで、先輩と同じ掃除場になってしまった。
だけど、私は体育祭で気付いていたこの気持ちを捨て去ることは出来なかった。
「やっぱり私は、その人が好きだった。出久がかっちゃんを思うようにね」