第10章 カミングアウト
「零ちゃん、落ち着いて」
「あっ、ごめん。好きなアニメの世界に居れて嬉しくて、興奮し過ぎたね。あはは……」
こんな世界に居れるなんて幸せ過ぎるんだよ。
「爆豪、君が笑ってると地獄絵図を見てるみたいだ」
物間君の呆れた顔に私は微笑む。
「だって、かっちゃんじゃないもん。零だし」
「今は零ってこと?」
「そうだよ!」
物間君は眉間にシワを寄せる。
「君、性格はタイプだよ」
物間君の言葉に私は口を開けたまま固まった。
「だよな!俺も零ちゃんタイプ」
「俺もだぜ!今は爆豪の体だから残念だけど」
上鳴君と切島君の言葉に私は幻聴を聞いてるのかと思った。
いや、ここに居ること自体が幻みたいだけど。
嬉しかった。
いつも見た目で判断されて、変な誤解されて、片想いすることすら許されなかった。
だけど、この人達は明らかに違う。
この人達は人をそう簡単に嫌ったりしない。
見た目より性格で判断する優しい人達だ。
「ありがとう、嬉しい……」
私の言葉を聞いて、みんなは微笑む。
焦凍が私の頭を撫でてくれた。
「みんな、早く昼食を食べたまえ!授業に遅れるぞ!」
飯田君はそう言って、私に笑顔を向けてきた。
結局、物間君達と一緒に昼食を食べた。